2016.07.25 Monday

ドレスデン・トランスポート・ミュージアム

 

 

Motor Press(モータープレス)

極個人的な自動車偏愛日記


こんにちは。
またまた久しぶりの更新ですいません。
というのも、今月もまたまた締め切り地獄の18日(正確には17日深夜)から
海外に逃亡していたからなのですね。
 

その目的のひとつがこれ! ドイツ・ブランデンブルク州にあるユーロスピードウェイ・ラウジッツ
(あのミケーレ・アルボレードがアウディR8のテスト中に亡くなったのはここなんですね)で
行われた新型ポルシェ・パナメーラのワークショップ。
 

そしてスウェーデンのマルメーで行われた新型ポルシェ718ケイマンの国際試乗会!
いやぁ、ニューモデルの国際試乗会なんて、現行カイエン以来かも。
その詳細については追って各紙(お仕事おまちしてます)でご紹介するとして
今回は、旅の中での小ネタをご紹介します。
 

ドレスデンからスウェーデンへの移動日のこと。
午後が丸っと自由時間になったのでジャーナリストの河村康彦さんに誘われて、
一緒にドレスデン旧市街にあるトランスポート・ミュージアムを見学。
 
そもそもドレスデンって街は、旧東ドイツ領内ですからね。一体、何が置いてあるのか?
興味津々で向かったわけです。
 

まず最初にあるのが、自動車とバイクのフロア。
それこそ、馬車の時代から現在に至るまでの歴史をまとめて(子供にもわかりやすい仕掛けが沢山ある!)
あるのですが、やはりそこは旧東ドイツ圏。我々の知らないいろんなネタが詰まっています。
 
そんな展示フロアに置かれた1台のBMW。
そう、BMWが4輪に進出するために1928年に買収したディクシー社は、ドレスデンにも程近い
テューリンゲン州のアイゼナハにあったのです。
 
これはディクシー時代に当時ライセンス生産をしていたオースティン・セブンをベースに
エンジンを20HPへチューン、さらに4輪をスイングアクスルの独立懸架とした
AM-1(3/20HP)と呼ばれるモデル。
 

こちらは1933年式のローア 8 TypF。ローアは戦前期ドイツにあった高級車メーカーのひとつで
これはドレスデンにあったコーチビルダー、グレイザーのボディを架装したカブリオレ。
当時マルティン・レナーというドレスデン最大のデパートのオーナーが所有していた個体だそうな。
その後他のオーナーに売られたものの、戦後は表立って乗られずに仕舞われていたんだそう。
 

ここからは戦後のコーナー。BMWアイゼナハ工場は第二次大戦後ソヴィエトに接収され、BMWを継続生産。
しかし1952年に、西側で復活を果たした本家BMWから商標権の侵害で訴えられると
社名をEMW(アイゼナハ・モトーレン・ヴェルケ)に変更。青/白のエンブレムを赤/白に変えて再出発します。
(ちなみにEMWのボディ工場はドレスデンにあったそうな)
 
このサルーンは、1952年型のEMW 340-2。1938年登場の321の改良版というべきモデルで
1955年までに25000台を生産。展示車は当時タクシーとして使われていたものだそう。
 

そしてこれはDKW F89……ではなく、1955年式のIFA F9 Typ 309/1。
実はアウトウニオンの工場も戦前、ザクセン州のツヴィッカウにあって、
そこで戦時中にこのクルマの元になるF9の開発を行っていたのでありました。
(ちなみにドレスデンにもアウトウニオンの工場があったものの空襲で壊滅)
 
戦後、ツヴィッカウ工場はIFAを名乗り、乗用車の生産を再開。
戦時中に開発を進めていたこのF9の生産を1949年から開始するのです。
 
一方、1949年に西側で復活したアウトウニオンは、F9をベースにした生産車F89を1950年に発表。
時を同じくして西と東で、同じルーツをもつクルマが別の物として生産されることになるのですね。
 
ちなみにIFAはその後、EMWなどとともにAWE(VEBアウトモービルヴェルク・アイゼナハ)に統合。
F9に搭載されていた910ccの2ストローク3気筒エンジンは、ヴァルトブルクの主力エンジンとして
なんと1980年代まで行きのびることとなるのです。
 

そんな東と西の関係はオートバイでも変わらず。東ドイツのバイクといえばDKWの流れをくむMZが有名だけど
BMWもAWOとして復活。このAWO 425は戦前のR23をベースとした250ccのオートバイ。
いわばBMW R24の兄弟車というべき1台ですね。
 

これはIWL Pitty という1955年型のスクーター。
戦後イタリアで起きたスクーター・ブームを見て、国民の足を求める東ドイツ政府の指示で
VEBルートヴィッヒスフェルテ・アウトモービルヴェルケが開発したもので、
エンジンはMZ製の2ストローク125cc。しかし工作精度が悪かったらしく、わずか1年で生産中止。
ちょっとハインケルのスクーターにも似てる。
 

この可愛らしいワゴンは、1956年型のAWZ P70。
生産を担当したのはVEBアウトモービルヴェルケ・ツヴィッカウ。
つまり旧アウトウニオン系のモデルということなのね。うんうん、だんだんわかってきた(笑)。
 

個人的に当時の東ドイツなんて、朴訥な味気のないクルマばっかりだったんだろうな……
と思っていたのですが、こんなエレガントなクーペも。
これはヴァルトブルク311/3という2シーター・クーペ。エンジンは2ストローク3気筒。
このほか311/2という2シーター・カブリオレもあったのだそう。
 

そんでもって、このパースの狂ったような変な小型車は1960年代後期に試作された
ヴァルトブルク355。東ドイツ初のハッチバックらしいのですが、ボディはFRP製。
エンジンは相変わらずの2ストローク3気筒ながら、この1969年モデルでは1400ccに拡大されていたらしい。
 
とにかくこの他にもいっぱいあったのだけれど、スペースの都合で今日はこの辺で。
でも知られざる東ドイツの自動車産業の歴史を勉強できて、ホント楽しかったな。
これで入館料9ユーロは安い! ドレスデンに行ったときには是非!!
 
住所:Augustusstraße 1, 01067 Dresden
休館日:月曜日

 
ではでは。


 
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