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2011.04.04 Monday

ESSO RACING TEAM STORY 第23回

 

Motor Press(モータープレス)
極個人的な自動車偏愛日記



―― ESSO RACING TEAM STORYは、1970年台の初頭に
東京・青山の片隅で、真剣にF1を夢見て集まった若者たちの情熱の物語です。



【発覚したトヨタ・エンジンの実力

ステアリングギアボックスの不具合によるクラッシュの後遺症で
たった1台の出場ながら、鮒子田選手の奮闘により
トップ争いを繰り広げたうえ、デビュー戦を3位で終えたESSO RACING TEAM。

当時レースを金網越しに見ていたファンのひとりである
lotus49fordさんはこう振り返ります。

(写真提供:Racing Retro

「1973年のFJ1300の開幕戦もあまり覚えていませんでしたが
 藤原さんのBlogで思い出してきました。
 確かにスタート時点で鮒子田選手は後ろに方にいましたが
 どんどんと上位に進出しました。そして林選手とのバトルになりました。
 添付はその写真です」

しかしその活躍の一方で、前回の鮒子田さんの回想にもあるとおり
ティームには一抹の不安がありました。

――それはレース用&スペア合わせて、4基が無償提供されていた(!)
虎の子のトヨタ・ワークス・エンジンの実力不足でした。
鮒子田さんの “高回転域はそれなりの良かったけど、
中低回転域のトルクは全くない特性” という記憶を裏付けるように
当時の状況を解良さんは、こう証言します。

撮影:前田恵介

後に日仏(後のスリーテック)が柳田(春人)君用にNOVA01を1台購入して
 参戦していた関係で、彼のサニーエンジン搭載車にも富士で乗りました。
 結果は、カローラはサニーに比べ中速域のトルクが低く、
 高速域は同じで回転数が少し高い程度。これでは勝てないと確信しました。
 ですからその時、両ドライバー氏(鮒子田/晴邦)の速さを認めました。
 シャシー性能はマーチに負けてるとは思いませんでした」

1974年シーズンにサニーA12ユニットを搭載してFJ1300に参戦した
高田和政の城南宅建ノバ01(AUTO SPORT YEAR '75 三栄書房 刊)

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もちろん、ノバとしても後にエンジンへの対策を施す事になります。

「その後、綱島チューンから斎藤チューンになり中速、高速域も改善されました。
 斎藤君は元ヨシムラ・コンペティションのメカで、在籍中に
 N360のエンジンの担当をしていて、お互いエンジンで競り合った間柄です。
 彼が多摩ホンダのデーラーの社長さんのバックアップで
 4輪のエンジンチューンを始めたのでカローラの(綱島チューンがベース)
 エンジンをお願いしました。
 数値は確かではありませんが、カローラはサニーに比較してショートストロークの為、
 相対的にトルク不足(その為かトップエンドは少し高い)ではありました。
 また、綱島チューンではバルブスプリングが折れるトラブルが初期にありましたが
 斎藤チューンはアメリカ製のアウター、インナーがこすれるタイプのスプリングで
 サージング領域も上がり、ばね定数も低くパワーロスが少ないと
 斎藤君に言われた記憶があります」

もちろん、当時のESSO RACING TEAMにとって
トヨタのワークスエンジンの供給を受けられるという状況は願ってもないものでした。

また、当時ESSOの宣伝課長だった嶋田豊氏が、
「当時トヨタからの推薦もあったと記憶している」と証言されているとおり
1962年以来、トヨタへのオイルなどの供給を一手に引き受けていたESSOが運営する
レーシング・ティームのマシーンにトヨタのエンジンを搭載するというのは
ある意味、必然でもあったのです。

この年のドライバーが、当時のトヨタ・ワークスであったTMSC-Rのエース高橋晴邦と
元TEAM TOYOTAのエースである鮒子田寛というドライバーラインナップであったのも
それを象徴しているといえるでしょう。

しかしながら、そんな体制をもってしても
サニーのA12型OHVエンジンの強さは圧倒的でした。
そんな状況の中でもトップ・コンテンダーとしてESSOが君臨できたのは
解良さんの証言のとおり、2人のドライバーの腕とシャシーの素性の良さによるものでした。

解良さんはまた、ノバ01の素性の良さを示すこんなエピソードも紹介してくれました。

「後にホンダRSCの高武(富久美)さんがケン松浦さんチューンの
 シビック・エンジンをノバ01に積んで鈴鹿を走っています。
 このシビック・エンジンも木村さんの要望で最初に富士でテストドライブをしました。
 ロングストローク・エンジンの割にはレスポンスが良くてパワーもあり(CRキャブ)
    アルミブロックで後ろが軽かったのでバランスが良かったのを覚えています
 トルク、パワー共カローラと比較して勝っていて(OHCとOHVの違い)
    自分でテストしてみて“これなら勝てる”と感じました

その通り、無限によるシビック・ベースのMF318エンジン(+NOVA&松浦チューン)
を搭載したノバ01は、1974年シーズンに登場(ドライバーは高田和政&高原敬武)。
1975年シーズンにはマーチ全盛の中、2年落ちのシャシーながら
高武富久美のドライブで最高位2位を含む数度の表彰台を獲得。
圧倒的な強さでチャンピオンとなった長谷見昌弘に次いで
全日本ドライバーズ選手権FJ部門の総合2位に輝いたのでした。

高武富久美のノバ01 無限NF318(AUTO SPORT YEAR '75/'76 三栄書房 刊)


結局3台が製作された(と思われる)ノバ01は
後継となるノバ513が登場した1976年シーズンになっても活躍を続ける事になります。
それは、当時の国産フォーミュラとしては異例の息の長さでもありました。

(AUTO SPORT YEAR '76/'77 三栄書房 刊)

ということで、次回は1973年にESSO RACING TEAMのレギュラーとして
加入した高橋晴邦さんにご登場いただく予定です。お楽しみに。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

※過去の記事

ESSO RACING TEAM STORY プロローグ1
ESSO RACING TEAM STORY プロローグ2
ESSO RACING TEAM STORY 第1回
ESSO RACING TEAM STORY 第2回
ESSO RACING TEAM STORY 第3回
ESSO RACING TEAM STORY 第3回補足
ESSO RACING TEAM STORY 第4回
ESSO RACING TEAM STORY 第5回
ESSO RACING TEAM STORY 第6回
ESSO RACING TEAM STORY 第7回
ESSO RACING TEAM STORY 第8回
ESSO RACING TEAM STORY 第9回
ESSO RACING TEAM STORY 第10回
ESSO RACING TEAM STORY 第11回
ESSO RACING TEAM STORY 第12回
ESSO RACING TEAM STORY 第13回
ESSO RACING TEAM STORY 第14回
ESSO RACING TEAM STORY 第14回追記
ESSO RACING TEAM STORY 第15回
ESSO RACING TEAM STORY 第16回
ESSO RACING TEAM STORY 第17回
ESSO RACING TEAM STORY 第18回
ESSO RACING TEAM STORY 第19回
ESSO RACING TEAM STORY 第20回
ESSO RACING TEAM STORY 第21回
ESSO RACING TEAM STORY 第22回


※ブログ右端のカテゴリー欄に
ESSO RACING TEAM STORY を追加しています。
過去の記事はそこからもご覧頂けます。


※モータープレスでは、ESSO RACING TEAMはもとより
往時のレースシーンにまつわる皆様からの情報をお待ちしております。
コメント欄に載せたくないもの、または画像を添付したい
といった情報については、今後 

motorpress.jp@gmail.com

まで、メールにてお寄せください。
基本的に受信専用のアドレスのため早急なお返事ができない
可能性もありますが、どうぞよろしくお願いします。
コメント
おじゃまします。
毎回楽しい記事有難うございます。
3月9日の鈴鹿のレースは激戦でしたね、最後まで気が抜けませんでした(私はデグナー入口のアウト側ガードレール横で観戦してました)が場内放送で長谷見選手が逃げ切った様でした、ウイニングランする二人に手を振りましたが、長谷見選手は手を挙げてくれましたが、高武選手はくやしそうでしたね。
又覗きます。
では。
  • 桑名の星の
  • 2011.04.04 Monday 17:27
興味は尽きないんですが何せ情報量が多くて重くて重くて開くのに時間がかかるのが玉に瑕、うちのPCの問題かしらん
  • エスロクレーサー
  • 2011.04.04 Monday 19:02
桑名の星のさん
そうですか、ノバ無限をご覧になっているのですね!
そういえば、以前ご紹介したtamagoyaさんの秘蔵フィルムの中にも
FJ1300の模様が入ってました。
  • 藤原
  • 2011.04.04 Monday 20:26
エスロクレーサーさん
ご無沙汰です。あれ? そんなに重いデータではないんですが……。
あ、そうそう。実はこのコメント欄の常連、Bobさんに
すんごい資料を見せてもらったんですよ。近々に公開したいんですが
なんかバタバタしてまして。お楽しみに!
  • 藤原
  • 2011.04.04 Monday 20:28
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